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2010.01.17

1995.1.17 
阪神大震災のあった、あの日から15年たちました。

昨日フジテレビ系のドラマ
「阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間~命と向き合った被災記者たちの闘い~」を見て、改めて自分の当時の様子を思い出しました。

あの頃、私は、「おはよう朝日です」のスタッフの1員でした。 あの日から数日、私は大阪にある朝日放送にカンズメでした。サブ・スタジオの局内スタッフは、レギュラー番組の枠を超え、生放送の帯2番組、「おはよう朝日です」「ワイドABCDE~す」のスタッフが「朝組」「夕方組」の2交代制で、ほぼ12時間づつぶっ通しで担当していた。それ以外の時間は、準備と打ち合わせ。不思議と最初の3日は全く眠れなかったし寝なかった。上から指示された訳でもなく、皆が自分のできることを分担し走り回った。交通手段がなく、来れないスタッフ、被災したスタッフも多かった。私自身、神戸市須磨区に住む両親の生死が分からなかった。親戚が録音してくれた留守番電話で、震災30時間後に、ようやく生きていることを知った。

生で、情報を画面に出せる、テロップの大切さを痛いほど感じた。
「映像がなければ、テレビニュースにならない。映像がなければ、ラジオと同じ」という、当時の常識を覆し映像が無くても、文字やイラスト、図を使って、いくらでも伝えられる事を知った。
偶然、その3カ月前にスタジオの引っ越しをしており、スタジオに大きなモニターがあったことも、大きかった。これで、指をさしながら説明できるし、アナウンサーがしゃべっている時も、大切な情報をできるだけ長く、分かりやすく、目立つように出しっぱなしにすることができる。

「カメラを向けるべきか、カメラを置いて人として手伝うべきか」
この議論は、私たちの間でも2派に分かれ、大声で怒鳴り合うような喧嘩もあった。
私は「カメラを向けるべき派」で、逆に3週間以上たった後でも震災以外の他の
取材に行く気にはなれなかった。

「がれきの中で何を取材すればいいのか」「人の死や壊れたビル、家屋の様子を 報道するだけでいいのか?」
漠然と現地に向かうわけにもいかず、モンモンとしている中、うちの当時のAD、宮原真紀ちゃんが私に言った。「池田さん、ライフラインっていう言葉を初めて聞いたけど、そのライフラインを取材すれば被災地の人にも役立つのでは?」
神の声に聞こえた。
「おはよう朝日です」の会議の席で、早速その事を言うと、皆、参道してくれた。
「水道」「ガス」「電気」「道路」「郵便」の5つに分け、私は長田区の郵便局事情を担当した。今なら「郵便」ではなく「通信」かもしれない。でも、電話が繋がらない中、大量の手紙や物資が被災地に届く。しかし、それを配れる家が無いことも多かった。
瓦礫の山の中に「生きてます。**体育館にいます」と書かれた箱があり、その中に、手紙を1通1通配達員が手で配っていく。
張り紙が無い瓦礫も多い。
それだけに「生きています」の張り紙を見るたびに心が震えた。携帯電話が無かった当時、まさに郵便はライフライン、命と命をつなぐ線だった。

あれから15年。思い出すことも少なくなったのですが、先日、大阪産業創造館さんから仕事についてのインタビューをうけたとき「一番大変だったことは?」と聞かれて、ふと思い出した。あの震災ほど大変な事って、そうそう起るものではない。あの時の、絶望感を乗り越えて来れたのだから、あの時のように、皆で手をとりあって、必死になればどんな困難でも乗り越えられるのでは?と思う。
「水道をひねれば水が出る」ことの幸せを神様に感謝せねば・・・とも思います。

ただ、今まさにその困難の真っただ中にいる人たちがいます。
ハイチです。
http://www.worldvision.jp/news/news_0418.html
これは、私の支援している、ワールドジャパンの募金。
「手を取り合うことの大切さ」を再認識し、ほんの少しですが募金させていただきました。

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池田由利子

株式会社P-CUBE 代表取締役社長

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